木造の床は、一見シンプルに見えますが、
「根太」「大引」「束」 の3つの部材で成り立っています。
この3つの意味を理解すると床がどう支えられているのか、
なぜ床が沈む・ふわつくことがあるのか、
なぜ床上げが必要なのか、
が一気にわかりやすくなります。
難しい数字や計算は不要。
まずは床の骨組みを“言葉だけで”理解していきましょう。
■ 1|根太(ねだ)とは?
根太とは、床板(フローリング・合板など)を直接支える細い横材です。
床を構成する中で最も本数が多く、
床の仕上げ材を“下から連続的に支える”役割を持っています。
● 根太の一般的な間隔
一般的には
303mm(1尺)ピッチ で並びます。
※現場によって 303mm〜455mm の範囲。
この細かな間隔で連続させることで、
歩いたときに床が安定します。
● 根太の一般的なサイズ
よく使われる寸法は:
- 45 × 45mm
- 45 × 60mm
- 45 × 75mm(長スパン用)
細長い材が等間隔に並んでいるイメージです。
■ 2|大引(おおびき)とは?
大引とは、**根太を支える“さらに太い横材”**です。
根太よりも大きく、
床全体の強度・安定感を左右する重要な部材です。
● 大引の役割
- 根太を受ける
- 床全体を支える骨組みになる
- 束(つか)からの力を受ける
- 建物の水平を安定させる
根太を“細い線”とするなら、
大引は“太い横の柱”のような存在です。
● 大引の一般的なサイズ
現場でよく使われる寸法:
- 90 × 90mm
- 105 × 105mm(標準)
- 120 × 120mm(強度が必要な場合)
床の主要な支持材なので、太さがしっかりしています。
■ 3|束(つか)とは?
束とは、大引を下から支える縦の短い柱です。
長い柱とは違い、丈が短く、
床下の高さ調整と支柱の役割を兼ねています。
● 束の役割
- 大引を垂直に支える
- 床の水平を調整する
- 床下から伝わる荷重を基礎へ流す
床がふわつく原因の多くは、
束が沈んだり緩んだりしていることが多いです。
● 束の種類
現場でよく使われるのは以下の3種類:
① 木束
昔ながらの木の短い柱。
現在はほとんど使われません。
② 鋼製束(こうせいづか)
ネジで高さ調整ができる金属製の束。
現代のリフォームではほぼこれが主流。
- 調整が容易
- 耐久性が高い
- 床下のメンテがしやすい
③ 束石+木束(古い住宅で多い)
地面に束石を置き、その上に束を立てる昔の工法。
■ 4|床の構造
床を下から見たときのイメージを
言葉だけで再現すると、こうなります。
① 地面(または地盤)
↓
② 基礎の立ち上がり
↓
③ 束(短い縦材)
↓
④ 大引(太い横材)
↓
⑤ 根太(細い横材)
↓
⑥ フローリング・床材(仕上げ)
この 縦 → 横 → 横 の3層構造が
木造床の基本骨格です。
■ 5|床が“沈む・ふわつく”のはどこが原因?
床が沈む・フワフワする場合、
原因はほぼ以下のどれかの可能性が考えられます
● 根太が弱っている(腐食・細すぎる)
→ 仕上げに荷重を連続で受けきれず沈む
● 大引がたわんでいる
→ スパンが長すぎる or 断面不足
● 束の沈下・緩み
→ 床全体がフワつく最大の原因
● 束石が動いている(古い住宅)
→ 土台から不安定になる
基礎記事としてはここまでにし、
補強方法は別記事で扱えます。
■ 6|まとめ
木造の床は、
この3つの部材でできています。
根太(細い横材)=床材を受ける
大引(太い横材)=根太を支える基礎ライン
束(短い縦材)=大引を下から支える
この “縦 × 横 × 横” のシンプルな構造を理解するだけで、
床の仕組みが驚くほど分かりやすくなります。
■ 注意書き(ブログ用)
本記事は一般的な在来木造の床構造をもとにした入門解説です。
建物の築年数・仕様・地域条件により床構造は異なる場合があります。
改修・計画時には必ず専門業者へ確認してください。

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