木造在来工法|「基礎・土台・杭の基本」

木造在来工法の建物は「柱と梁」のフレームで構成されますが、
そのフレームを支える最も重要な部分が 基礎(きそ)・土台(どだい)・杭(くい) です。

この3つの理解で、建物の強度の“下半分”がわかります。


1. 基礎とは?(建物の最下部構造)

基礎は建物の荷重を地盤へ伝えるコンクリート構造で、役割は次の通りです。

✔ 地盤へ荷重を均等に伝える

建物の重さや地震力を地盤へ分散。

✔ 不同沈下を防ぐ

片側だけ沈むと、壁のひび割れ・建具の不具合の原因になる。


基礎の主要な種類

① 布基礎(ぬのきそ)

外周部と主要な間仕切りの下に帯状のコンクリートを配置する方式。
コストを抑えつつ必要強度を確保できるため、従来の一般住宅で多い。

② ベタ基礎

建物全体をコンクリートの“盤”で支える方式。
地震・不同沈下に強く、現在の新築住宅の主流。

イメージ:

  • 布基礎 → 線で支える
  • ベタ基礎 → 面で支える(より安定)

2. 土台とは?(基礎の上に乗る最初の木材)

土台は基礎の上に設置する水平の木材で、柱や床を支える重要部材です。

✔ 防腐・防蟻処理された木材が必須

ヒノキ、ベイヒバ、SPF集成材 + 防腐・防蟻処理 など。

✔ アンカーボルトで基礎に緊結

基礎から突き出たボルトで土台をしっかり固定。


3. 基礎と土台をつなぐ金物

建物の耐震性の根幹に関わる部分です。

● アンカーボルト

土台と基礎を固定する基本金物。
間隔は 910mmピッチ程度 が一般的(構造計算により調整)。

● ホールダウン金物

地震時の「柱が持ち上がる力」を防ぐ。
構造上重要な柱や耐力壁周辺で多用。


4. 地盤が弱い場合は“杭”が必要になる

基礎がどれだけ強くても、
その下の地盤が弱ければ建物は支えられません。

そのため以下の場合は 杭工事(くいこうじ) を行います。

  • 地盤調査でN値が低い
  • 表層改良では不十分
  • 中〜大規模建物(店舗・ホテル・施設)
  • 不同沈下が絶対に許されない用途

5. 杭の種類(現場でよく使われるもの)

① 鋼管杭

鋼製パイプ杭。精度が高く施工も速い。
→ 支持層に到達させて使う「先端支持杭」として優秀。

② PHCコンクリート杭

工場製の高強度コンクリート杭。
→ 中~大規模建物で多用。

③ 場所打ち杭

地中に穴を掘り、鉄筋カゴを入れてコンクリートを現場打設。
→ 大規模建築向け。

④ 表層改良/深層混合処理(“地盤改良”)

杭ではないが、小規模建物で最も多い基礎地盤補強方法。


6. 杭と基礎の関係(ここを理解すると強度がわかる)

よく誤解されますが、
杭が基礎を支え、基礎が建物を支える構造 です。

力の流れはこうなります:

杭 → 基礎 → 土台 → 柱 → 梁 → 屋根

建物の耐震性は、この力の流れと緊結が正しく設計されているかで決まります。


7. 杭は“後から直せない”。だから設計が最重要

杭は地中深くにあるため、
完成後は確認・補修が極めて困難 です。

そのため、

  • 地盤調査の精度
  • 支持層の深さ
  • 杭の種類
  • 施工精度(位置ズレ・施工不良)
  • 施工記録の保存

が非常に重要です。

特に商業施設・ホテルなどの改装では、
既存杭の資料を入手できるかどうかが品質の分岐点 になります。


8. 実務での“確認ポイント”(内装工事にも関係)

内装・リノベ案件でも以下のチェックは必ず役立ちます。

  • 基礎の種類(布/ベタ)
  • 杭の有無と種類(構造図で確認)
  • 杭の支持層の深さ
  • 地盤調査データ(ボーリング柱状図の有無)
  • 土台の腐朽・シロアリ
  • アンカーボルトの位置・本数
  • ホールダウンの設置

特に既存建物の改装では、
地盤 → 杭 → 基礎 → 土台 を把握しておくと
耐震性・揺れ方・床上げの可否判断にも役立ちます。


⚠ 注意書き(日本語版)

本記事の内容は一般的な木造在来工法の基礎・土台・杭に関する解説です。
実際の建物は地域、地盤、築年数、構造仕様によって大きく異なります。
改修・リノベーション・耐震判断などは、必ず専門家(構造設計者・施工会社・地盤調査会社)へご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました