浄化槽は、建物から発生する汚水を敷地内で処理し、放流基準に適合した水質へ浄化するための設備です。
住宅・店舗・飲食店・宿泊施設など、多くの用途で必要となります。
本記事では、浄化槽を理解するうえで重要な
- 浄化槽が必要な場所/不要な場所
- 浄化槽の仕組み
- BODとは何か(流入と放流の違い)
- 1敷地1台の原則と分離設置の考え方
を順に整理します。
① 浄化槽が必要な場所/不要な場所(基本)
最初に確認すべきは、その敷地が 下水道処理区域かどうか です。
■ 浄化槽が不要な場所(=公共下水道が利用できる区域)
- 下水道処理区域(汚水を公共下水道に直接流せる場所)
この区域では浄化槽を設置せず、
排水は公共下水道へ直接接続します。
■ 浄化槽が必要な場所
- 下水道未整備区域(非公共下水区域)
- 郊外・農村地域・別荘地・市街化調整区域
- 公共下水道へ接続できない建物
これらの区域では、汚水を敷地内で処理する必要があるため、浄化槽の設置が必須となります。
② 浄化槽の仕組み(基本構造)
浄化槽は、汚水を次の工程で処理します。
- 沈殿(固形物を沈める)
- 嫌気処理(酸素の少ない環境で微生物が汚れを分解)
- 好気処理(空気を送り込み、微生物が有機物を分解)
- 沈殿(二次沈殿)
- 消毒(塩素などで殺菌)
この工程により、流入した汚水は大幅に浄化され、
最終的に放流基準である BOD20 mg/L以下 などの水質に仕上げられます。
**③ BODとは何か?
「流入BOD」と「放流BOD」の違いが最重要ポイント**
■ BODの意味
Biochemical Oxygen Demand(生物化学的酸素要求量)
微生物が汚水を分解するために必要な酸素量を示します。
→ BODが高いほど「汚れが多い」
→ BODが低いほど「きれいな水」に近い
■ 浄化槽では「流入BOD」と「放流BOD」の2つを見る
● ① 流入BOD(IN)
建物から浄化槽に入ってくる汚水の汚れの量。
用途によって大きく変わります。
- 住宅排水:150〜200 mg/L
- 宿泊施設:200〜300 mg/L
- 飲食店:500〜2000 mg/L と非常に高い
流入BODが高い用途では、
浄化槽の機種選定(処理能力)に注意が必要です。
● ② 放流BOD(OUT)
浄化槽で処理した後に、側溝・水路へ流す際の水質。
これは「浄化槽の性能値」として扱われます。
一般的には、
流入BOD200 → 放流BOD20 以下(約1/10に低減)
という性能が求められます。
■ 「BOD20の浄化槽」という表記の意味
浄化槽が最終的にBOD20 mg/L以下の水質まで浄化できる性能を持つ
ということです。
ここを「流入の汚れの量」と誤解している人が多いため注意が必要です。
④ 浄化槽は基本「1敷地1台」という考え方
浄化槽は敷地全体の排水をまとめて処理する設備であり、
多くの自治体で
同一敷地内には原則1台設置
とされています。
■ なぜ1敷地1台なのか
- 浄化槽の放流水質を安定させるため
- 排水の管理を一元化するため
- 維持管理を簡単にするため
- 複数の浄化槽で処理すると性能管理が難しくなるため
■ まとめ
- 浄化槽が必要かどうかは 下水道区域かどうか で決まる
- 浄化槽は「嫌気 → 好気 → 沈殿 → 消毒」で処理
- BODには 流入BOD と 放流BOD がある
- 一般的性能は BOD200 → BOD20以下に浄化
- 「BOD20の浄化槽」は 放流水質の性能 を示す
- 浄化槽は 原則1敷地1台
**■ 注意書き
本記事の内容は一般的な解説であり、実際の運用は自治体や敷地条件によって異なります。必ず所轄の行政・保健所・建築士へ確認してください。**

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