工事区分:A工事・B工事・C工事とは

テナント内装に必須の概念と、資産区分との関係を正しく整理する。

商業施設・テナント出店・オフィス移転などの内装工事では、必ず登場するのが
A工事・B工事・C工事 という「工事区分」です。

しかし、この言葉は施設・ビル運営者・テナント側で解釈がバラつきやすく、
誤った理解のまま計画を進めると 想定外のコスト負担や 工事範囲のトラブル が発生します。

本記事では、工事区分を正しく理解するために

  1. A・B・C工事の正しい定義
  2. 発注者・費用負担の違い
  3. 具体例(電気・設備・内装)
  4. ビル側とテナント側の“資産区分”との関係
  5. 実務でトラブルを避けるポイント

を整理します。


① A工事・B工事・C工事とは?(正しい定義)

建築・内装の工事区分には明確な基準があります。


■ A工事(ビル側が発注し、ビル側が費用負担)

● A工事の特徴

  • ビル(貸主)が工事を発注し、費用もビル側が負担
  • 共用部、建物の性能・防災・設備に関わる部分
  • テナントが勝手に触ってはいけない部分

● 代表例

  • 建物の構造補強
  • スプリンクラー・感知器の移設
  • 排煙設備・防火設備
  • 空調の一次側(本体・メインダクト)
  • 敷地側の電源一次(キュービクル・幹線)
  • 排水縦管・ガス主管
  • 共用廊下・外壁工事
  • 区画壁(耐火区画)

ビルの安全性や法令遵守に関わる部分はA工事です。


■ B工事(テナントが費用負担、ビル指定業者が施工)

● B工事の特徴

  • テナント(借主)が費用を負担し、ビルが指定した業者が施工する工事
  • ビル全体に影響する部分で、品質・仕様をビル側がコントロールしたい内容

● 代表例

  • ビル空調の二次側工事
  • 電気の二次側(分電盤一次側までの引込など)
  • 排水接続の一次側(ビル主管への接続部分)
  • 防災設備(感知器・スプリンクラーヘッドの移設など)
  • セキュリティ関連の接続
  • テナントインフラ工事の一部

テナントが費用を払うにも関わらず、
ビル側の指定業者が施工を行う点が特徴です。


■ C工事(テナントが発注し、テナントが費用負担)

● C工事の特徴

  • テナントが自由に発注し、自分で費用を負担する工事
  • 内装・什器・照明・厨房など、テナント専有部分の仕上げ

● 代表例

  • 床・壁・天井仕上げ
  • 間仕切り壁(非耐火)
  • コンセント増設、照明(分電盤以降)
  • 看板(許可が必要な場合あり)
  • 厨房設備・什器
  • 家具・ミラー・販売什器

内装デザインの大部分はC工事に該当します。


② 工事区分は“設備の一次側と二次側”で決まることが多い

内装設計で混乱しやすいのが 一次側(ビル側)/二次側(テナント側) の境界。

● 電気(例)

  • A工事:幹線・キュービクル・電気室
  • B工事:テナント分電盤への引込(幹線二次側)
  • C工事:分電盤以降の配線、照明・コンセント

● 空調(例)

  • A工事:空調本体(ビルマルチAC・中央空調)
  • B工事:二次側ダクト・吹出口調整
  • C工事:テナントが独自に導入するパッケージAC

● 排水(例)

  • A工事:縦管(本管)・ピット内主管
  • B工事:テナント排水の本管接続部分
  • C工事:キッチン・トイレの床上配管・器具

③ 工事区分と「資産区分」の関係(重要ポイント)

■ 資産区分とは

工事を行った設備や内装が
“誰の資産として扱われるか” を示す考え方。

一般的には次のように対応します。

工事区分費用負担資産区分(誰のもの?)
A工事ビルビル資産
B工事テナント費用・ビル手配ビル資産(テナント資産にならないことが多い)
C工事テナントテナント資産

■ なぜB工事でも「ビル資産」になることが多いのか?

理由は以下:

  • B工事は「テナント費用負担」だが、
    設備自体はビルのインフラに接続されているため、ビル資産扱いとなることが多い
  • テナント退去後も残置され、次のテナントに利用されるケースもある
  • ビル側の仕様管理が求められる区画だから

このため、テナントが払ってもビル資産になるというやや複雑な関係になります。


■ C工事はテナント資産(退去時に原状回復義務が発生しやすい)

  • 床・壁・天井仕上げ
  • 造作家具
  • コンセント・照明機器
  • 厨房や什器

これらは原則 テナント資産 となり、
退去時には原状回復の対象となる場合が多いです。


④ 実務でよくある誤解と注意点


■ 「ビル側が指定した工事=A工事」ではない

費用負担と発注者が基準であり、
ビルの指示だけで分類されるわけではない。


■ 「テナントが払う工事=C工事」も誤り

前述の通り 費用負担はテナントでもB工事の可能性がある。


■ 「消防設備は全部A工事」ではない

  • 防災設備の移設・増設はB工事扱いになることが多い
  • 消防署協議内容・ビル規定による

■ 「内装屋が触れる部分がC工事」とは限らない

設備に跨る部分(電気一次・防災・空調本体)は基本的にA/B。


⑤ トラブルを防ぐためのポイント

  1. 最初にビル側の「工事区分一覧・仕様書」を確認する
  2. 電気・空調・排水は一次側/二次側を明確にする
  3. B工事は見積が高くなりやすいので、早めに予算反映する
  4. 資産区分と原状回復のルールも同時に確認する
  5. 内装計画でビル側設備を移動する場合は早期協議が必須

■ まとめ

  • A工事:ビル発注・ビル負担(ビル資産)
  • B工事:テナント負担・ビル指定業者施工(多くはビル資産)
  • C工事:テナント発注・テナント負担(テナント資産)
  • 設備の一次側/二次側で区分が大きく変わる
  • 資産区分と原状回復の関係を理解することが重要
  • 初期段階で工事区分とビル規定を確認することで、予期せぬコストを防げる

**■ 注意書き

本記事は一般的な解説であり、実際のビル規定・契約条件・設備構成により判断が異なる場合があります。必ずビル側資料および専門家へ確認してください。**

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