― 対象となる用途・規模の建物を実務目線で解説
結論から言うと、内装制限とは、建物の用途や規模、部屋の条件に応じて、壁や天井などの内装仕上げ材料を制限するルールです。
特に店舗・飲食店・宿泊施設などでは、計画初期に確認していないと、後から大きな設計変更が発生することがあります。
内装設計や改修工事を進める中で、必ず一度は出てくるのが「内装制限」という言葉です。
しかし実務では、
- どの建物が対象なのか
- どこまで制限されるのか
- なぜ制限されるのか
が曖昧なまま話が進み、工事直前や確認申請時に
「その仕上げは使えません」
と指摘されるケースも少なくありません。
この記事では、内装制限の基本を
「どの用途・どの規模の建物が規制対象になるのか」
という視点で整理します。
内装制限とは何か
内装制限とは、火災時の延焼や煙の拡大を抑えるために、室内の仕上材料を制限する制度です。
主に対象となるのは、
- 壁
- 天井
- 造作(固定された内装)
であり、床仕上げは原則として内装制限の対象外とされています。
重要なのは、
「すべての建物・すべての部屋に一律で適用されるわけではない」
という点です。
内装制限がかかるかどうかの基本的な考え方
内装制限の有無は、主に次の3点で判断されます。
- 建物の用途
- 建物の規模(床面積・階数)
- 部屋の位置(階・区画・避難経路との関係)
中でも、**最も影響が大きいのが「用途」**です。
内装制限の対象になりやすい用途(特殊建築物)
内装制限は、不特定多数の人が利用する用途で厳しくなる傾向があります。
代表的な用途は以下の通りです。
- 飲食店
- 物販店
- ホテル・旅館
- 病院・診療所
- 劇場・映画館
- 遊技場(ゲームセンター等)
- 学校・保育施設
これらは特殊建築物に該当し、
住宅や一般的な事務所と比べて、内装制限がかかる可能性が高くなります。
同じ用途でも規模や条件で扱いは変わる
同じ飲食店や物販店であっても、
- 小規模な路面店
- 大規模商業施設内のテナント
- 地下階・無窓階の店舗
では、内装制限の考え方が異なります。
特に注意が必要なのは、次のような条件です。
- 一定面積以上の室
- 地下にある
- 窓が少ない、または無い
これらの条件が重なると、壁・天井ともに不燃材料が求められるケースがあります。
建物全体ではなく「一部のみ」制限されるケース
実務で混乱しやすいのが、
建物全体ではなく、特定の範囲だけ内装制限がかかるケースです。
例えば、
- 共用廊下
- 避難経路に該当する部分
- 防火区画に接する室
- 特定用途の室のみ
といったケースでは、
「天井のみ制限される」「壁のみ制限される」
といった判断が必要になることもあります。
内装制限=デザイン不可ではない
内装制限があるからといって、
必ずしもデザインの自由度が失われるわけではありません。
現在では、
- 不燃木材
- 不燃化粧板
- 不燃シート貼り仕上げ
など、意匠性と法規を両立できる材料も多く流通しています。
重要なのは、
設計初期から内装制限を前提に考えることです。
まとめ
- 内装制限は「用途・規模・位置」で判断される
- 建物の一部のみ制限されるケースも多い
- 計画初期での確認が最も重要
内装制限を正しく理解することで、
後戻りのない設計判断が可能になります。
注意書き
※本記事は、内装制限に関する一般的な考え方を整理したものです。
実際の適用可否や制限内容は、建物の用途・規模・構造・所在地(自治体)・既存不適格の有無などによって異なります。
最終的な判断については、
所管の建築指導課・確認検査機関・設計士などの専門家へ必ずご確認ください。

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