給気が足りない店舗で起きる現象

― 換気しているのに「空気環境が悪くなる」本当の理由―

店舗設計や改修工事の現場で、
「換気扇は回っているのに、なぜか空気が悪い」
という相談は非常に多くあります。

その多くの原因は、
排気に対して給気が足りていないことにあります。

この記事では、給気不足の店舗で実際に起きる現象を、
設計・現場の両面から整理します。


そもそも「給気不足」とは何か

給気不足とは、

  • 排気量に対して
  • 室内に入ってくる空気量が足りていない状態

を指します。

特に店舗では、

  • 厨房排気
  • トイレ排気
  • 倉庫・バックヤード排気

などが重なり、
想定以上に排気量が大きくなっているケースが多く見られます。


給気が足りないと起きる代表的な現象

① 室内が強い負圧になる

排気ばかりが強いと、室内は負圧になります。

その結果、

  • ドアが重くて開かない
  • 自動ドアが正常に動かない
  • 扉が勝手に閉まる

といった、日常動線に支障が出ます。


② 想定外の場所から空気が入ってくる

給気が不足すると、
空気は本来の給気口以外の場所から入ろうとします。

例えば、

  • サッシの隙間
  • 共用部との隙間
  • 排気ダクトの隙間

結果として、

  • 外気がコントロールできない
  • ホコリや臭気を引き込む

といった問題が起こります。


③ 排気が「うまく出なくなる」

一見矛盾しているようですが、
給気不足の状態では排気効率も落ちます。

理由は、
空気が入ってこないため、排気ファンが十分に空気を引けないからです。

その結果、

  • 厨房の煙がこもる
  • 臭気が店内に滞留する
  • 湿気が抜けない

といった現象が発生します。


④ エアコンの効きが極端に悪くなる

給気不足の店舗では、

  • 冷房が効かない
  • 暖房しても寒い

という声もよく聞かれます。

これは、

  • 室内圧が不安定
  • 外気が勝手に流入する

ことで、
空調負荷が想定以上に増えてしまうためです。


⑤ 臭気トラブルが発生しやすくなる

給気不足の状態では、

  • 厨房臭
  • トイレ臭
  • バックヤードの臭い

が、店内に逆流・滞留しやすくなります。

特に、

  • 飲食店
  • ペットショップ
  • 美容室・サロン

では、
クレームに直結しやすいポイントです。


「排気を強くすれば解決」は危険

現場でよくある対処が、

換気が弱い → 排気ファンを強くする

という判断ですが、
これは問題を悪化させることが多い対応です。

排気だけを強くすると、

  • 負圧がさらに強まる
  • 給気不足が深刻化する

ため、根本解決にはなりません。


給気計画は「排気とセット」で考える

給気計画で重要なのは、

  • 排気量を把握する
  • 同量、またはそれに近い給気を確保する

という考え方です。

具体的には、

  • 自然給気で足りるのか
  • 機械給気が必要か
  • 給気口の位置は適切か

設計段階で整理することが重要になります。


まとめ

  • 給気不足は多くの不具合を引き起こす
  • 排気が強い=換気が良い、ではない
  • 負圧・臭気・空調不良はセットで起きる
  • 給気と排気は必ずセットで計画する

給気計画を正しく考えることで、
店舗の快適性と運営品質は大きく向上します。


注意書き(必ずご確認ください)

本記事は、店舗における給気・換気計画の一般的な考え方を整理したものであり、
実際の換気方式・必要給気量・法的要件は、用途・規模・業態・所在地(自治体)・設備条件等によって異なります。

最終的な計画・判断については、
設備設計者、建築士、所管行政庁、専門業者へ必ずご確認ください。

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