「AIが設計する時代が来る。」
ここ数年、このような話題を耳にする機会が増えました。
ChatGPTや画像生成AIの登場により、
- 「設計者の仕事はAIに置き換わるのでは?」
- 「CADオペレーターは不要になる?」
- 「設計事務所はAIだけで仕事ができるようになる?」
と不安を感じる方もいるかもしれません。
実際に店舗設計の現場でAIを活用している立場から言うと、AIによって仕事の進め方は大きく変わりますが、設計者そのものが不要になるとは考えていません。
この記事では、その理由を実務の視点から解説します。
AIが得意なこと
AIには、人間よりも優れている分野があります。
例えば、
- 情報収集
- 法令の概要整理
- 文章作成
- プレゼン資料の下書き
- アイデア出し
- 翻訳
- 議事録作成
- チェックリスト作成
これらはAIが非常に得意とする作業です。
以前は1時間かかっていた作業が、10〜20分程度で終わることも珍しくありません。
設計者にとって、AIは「時間を生み出すツール」と言えるでしょう。
AIが苦手なこと
一方で、AIだけでは対応が難しい場面も数多くあります。
例えば、
- 現地調査
- 建物の劣化状況の判断
- 施主との打ち合わせ
- 行政との協議
- 現場での臨機応変な判断
- 施工方法の最終判断
これらは、現場の状況や人とのコミュニケーションが大きく関わるため、AIだけで完結することはできません。
店舗設計は「正解が一つではない」
店舗設計の面白いところは、法律を満たすだけでは良い設計にならないことです。
例えば、同じ100㎡のテナントでも、
- カフェ
- ペットショップ
- 美容室
- アパレルショップ
では求められる空間はまったく異なります。
さらに、
- ブランドイメージ
- 客層
- オペレーション
- 予算
- 工期
といった条件も考慮する必要があります。
AIは多くの選択肢を提案できますが、「このお客様にとって最適な答え」を選ぶのは、設計者の役割です。
法規だけでは設計はできない
建築基準法や消防法は設計の重要な基準ですが、それだけで設計は完成しません。
例えば、
- 動線は使いやすいか
- スタッフが働きやすいか
- 商品が魅力的に見えるか
- メンテナンスしやすいか
- 将来のレイアウト変更に対応できるか
こうした点は、実際の運用や経験を踏まえて考える必要があります。
設計とは、「法令を満たすこと」と「使いやすい空間をつくること」の両方を実現する仕事なのです。
AI時代に求められる設計者
これからの設計者に必要なのは、AIと競争することではありません。
むしろ、AIを使いこなす力です。
例えば、
- AIで法規の概要を整理する
- プレゼン資料のたたき台を作る
- チェックリストを作成する
- 複数のデザイン案を比較する
こうした作業をAIに任せることで、設計者は本来の仕事である「考える時間」を増やすことができます。
AIを使うことで設計の質は上がるのか?
AIを適切に使えば、設計の質が向上する可能性はあります。
なぜなら、AIが単純作業を担うことで、設計者は
- コンセプトづくり
- 空間デザイン
- 法規の確認
- クライアントとの対話
といった、人にしかできない仕事に時間を使えるようになるからです。
一方で、AIの回答を鵜呑みにして確認を怠れば、ミスやトラブルにつながる恐れもあります。
AIは便利な道具ですが、最終的な責任を負うのは設計者です。
まとめ
AIの進化によって、設計者の仕事は確実に変わっていきます。
しかし、それは「設計者が不要になる」という意味ではありません。
むしろ、AIを上手に活用できる設計者ほど、より多くの時間を創造的な仕事に使えるようになるでしょう。
設計とは、人の暮らしや働き方、ブランドの価値を形にする仕事です。
AIはその仕事を支える強力なパートナーですが、最終的な判断や責任を担うのは、これからも設計者です。
※この記事は店舗設計の実務経験をもとに執筆しています。AIは業務効率化に役立つ一方、建築基準法・消防法・各種条例の最終的な適用判断は、最新の法令や行政運用を確認したうえで行う必要があります。

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